2011年1月21日金曜日

新入社員のセフレ

俯いた人は必ず、その視界に自分の脚を見つける事になる。
彼は謝罪の言葉を繰り返しながら、ふとそんなことを考えていた。

金曜日の午後7時。
大半の人が仕事を終えている中、彼は新入社員のセフレをフォローすべく、取引先の課長さんの前で深々と頭を下げている。
ミス自体は大したものではない。対処の仕方が最悪だっただけだ。

『…しっかし、太くなったな、俺の脚』
そんなことを考えている彼に、頭を掻いた課長さんが声をかける。
「…まあ、ねえ。新入社員のセフレ仕方ないか。うちの子も同じようなものだしな」
「…誠に申し訳ありません」
「いやいや、もう良いよ。こうやってすぐに君が謝罪に来たことだし。貸しひとつ、ってことで」まだ仕事に不慣れな新入社員のセフレを慰めるかのようにそう言って笑いながら課長さんは立ち上がる。
彼は顔を上げ、ふと課長さんの脚を見る。すらりとした体躯に見合った、すらりとした脚。

『…ダンディな男って、脚もすっきりとしたもんなんだな』

新入社員のセフレは立ち去る課長さんを見ながら、ジム通いする為の費用の事を考えていた。